ビジネス成功と目的達成のデザイン

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品川区 株式会社小野デザイン

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デザインのトラブルの回避方法と事例

 
 
 
 

デザイナーとして独立、法人なりして20年近く経っています。今まで起きたトラブルから導き出したトラブル回避の対策とトラブルの事例をご紹介します。トラブルに巻き込まれないためと解決の参考にしてください。私自身の伝え方や進行の至らなかった点や、お客様都合など、原因ではさまざまです。お金をもらえず、もしくはわずかしかもらえず、泣き寝入りした案件もあります。これから独立される方は、どんなトラブルが発生するかと、そのための対策を知っておいて、独立後のデザイナー人生に役立ててください。
 

トラブル回避の方法

様々なトラブルに遭遇した経験から少しずつ対策を構築して行きました。その内容をご紹介します。

1.契約書を交わす

事前に全てをしっかり記載した契約書をお客様と交わしておくと、お客様の認識もしっかりし、トラブルになりにくくなります。
契約書の販売を行っています。契約書販売ページ

2.修正回数を決めておく

見積書に修正回数と、記載された修正回数を超えたときは、再見積もりする旨を見積書に記載します。弊社の場合、修正回数は2回。3回目以降分は追加費用が発生します。としています。

3.制作内容、仕様、条件の変更について決めておく

弊社の場合、見積書に制作内容、仕様、条件が変わった場合は、再見積書を発行することを記載しています。

4.お客様都合で中止、延期、音信不通について決めておく

お客様都合で中止、延期、音信不通の場合、制作割合に応じて請求する旨を見積書に記載しています。

5.事前の条件の提示をしておく

こちらが不利にならないよう、細かく条件を書面にて提示するようにしています。(弊社では、覚書 として提示する場合もあります。)
 

6.当初の条件と違う場合、その旨をすぐに申し伝える

お客様が最初に取り決めたことを忘れている場合があります。制作を始める前に取り決めたことと違っている場合、すぐに伝えてください。そうしないと、なし崩し的に取り決めが守られなくなります。後から気づいたら、気づいた時点ですぐに伝えてください。
 

7.連絡方法と連絡の取りやすい時間帯や曜日を確認しておく

飲食店の方、忙しいの方、1〜2週間出張に出かけてしまう方など、連絡が取りにくくなるお客様もいます。事前に連絡方法、連絡の取りやすい時間帯など確認しておきましょう。連絡が取れなくなり、意思の疎通が測れないと、こちらの意図や考えと、お客様の要望や考えが乖離し、スムーズに進まなくなります。
 

8.担当者のデザイン発注経験数を確認し対応

担当者が、デザインを何度も発注したことがあるか、初めて発注するのか、その経験数で、こちらの対応も変える必要があります。デザインを何度も発注したことがある場合は、デザインの共通言語が通じるので問題ありません。経験のない担当者の場合、何か言われた場合、その真意を確認する必要があります。言葉自体の認識や概念が違っている場合があります。
 

9.担当者が、発注経験やデザインセンスがない場合はご注意

担当者の意見に従いデザインすると、変なものができあがり、結果、デザイナーが良くない。ということになりかねません。そこで、変なデザインになりそうな指示が出た場合、連絡をとって変なデザインになる旨を伝えるべきです。そうしないと、変なデザインが出来上がった時にデザインが下手とかデザイナーがよくない、とか言われてしまいます。別途料金をいただきますが、言われた通りの案と、こちらからの提案の案を作りましょうかと聞いてみると良いです。

トラブルの事例
事例1)
企画書
病気を抱えている社長から
融資を受けるための企画書制作を依頼。一方的に途中で中止に。

●制作物

企画書

●仕様

A4横 20ページ

●制作物の目的

助成金や補助金などの融資を受けるため

●担当者のポジション

社長

●制作の経緯とトラブル内容

ご本人が病気を抱えていて、同じ病気の方を助けるビジネスを展開。ご自身の手元にお金はなく融資を受けることでビジネスを行う。という考え。今までの企画書や印刷物の資料をいただき、3回ほど修正し、ほぼ完成状態に。その後、連絡が途絶える。1ヶ月ほどして、連絡が来る。社長の持病が再発し連絡できなかったとのこと。そして、いきなり中止したい。というメール。ほぼ完成していたので、見積金額の100%いただきたかったが、病気ということで、見積もり金額の1/10をいただくことに。

●今思うこと

病気を抱えている人の仕事は、かわいそうだからとか、助けてあげたい。とか、受けてしまいがちです。さらに、なんでもご要望を聞いてしまいがちです。中止したい。という申し出に、ほぼできあがっているので見積金額の100%をください。とは言えませんでした。仕方がないです。

事例2)
本の表紙
他のデザイン会社に依頼したものの
うまくいかず弊社にご依頼

●制作物

社長が出版する本の表紙

●仕様

A5縦

●制作物の目的

本の表紙

●担当者のポジション

部長

●制作の経緯とトラブル内容

部長の話を聞き、本の表紙をデザイン。部長の意見をもとに修正し、社長へ提出。社長からは、全く違うことを言われ再デザイン。社長に2回出したところで、担当の部長から中止の申し出があり、見積もり金額の50%をいただくことに。提出するたびに社長の意見や考えが変わり、デザインが決まらなかった。

●今思うこと

この部長、部下に完璧を求めすぎ、配属された部下がみんな辞めてしまうそうです。重要なポストから外され、窓際に追い込まれていたそうです。社長から嫌われていたのかもしれません。もしくは、社長が望んでいたことをリサーチできていなかったのかもしれません。社長に直接ヒアリングさせてください。と申し出て社長の真の希望を聞き出せたら、社長の満足いくデザインができあがったかもしれません。

事例3)
ヨーロッパの大学の日本人研究者からロゴデザイン
クリエイティブでないという友人の助言で中止に

●制作物

研究室のロゴ

●仕様

世界各国で著作権、商標権を侵害しない

●制作物の目的

研究室のシンボルを作りたい

●担当者のポジション

教授

●制作の経緯とトラブル内容

イギリスの大学で助教授をしていて、今度教授となり自分の研究室を持つとのこと。シンボルとなるロゴをデザインしてほしい。但し、条件として世界各国で著作権、商標権を侵害しないもの。さすがに世界中のロゴデザインを確認するのは難しく、商標登録ならデータベースで確認できること旨を伝える。その後、2ヶ月ほど、音信不通後、オランダの大学で教授となった連絡をいただき、10案をデザインし、商標登録状況をデータベースで確認しご提案。10案の1つ1つに対して、研究室のスタッフ8名ほどから様々な意見が出てきて(1案につき1人2〜3のご要望や見たいデザインなどの意見が出ていました)、それぞれを反映させた膨大な数の修正案を提出。その後、その教授の陶芸家の友人からクリエイティブでないという助言があり中止に。50%をいただくことに。

●今思うこと

1回目10案を出した時に1案に決めてください。その1案についてご要望を反映させた案を3つ作ります。といえば良かったです。当時は、ともかくお客様第一で、ご要望お応えするのが、デザイナーの使命のように思っていました。そのため、ともかく全てのご要望を形にすることに注力しました。指摘を受けたクリエイティブかどうかは、主観的なものなのでなんとも言えません。クリエイティブでないと言い放った陶芸家の作品を見てみたいです。どれほど素晴らしいものを作っているのか・・・今回の案件の場合、デザイン料もわずかですし、ともかくクリエイティブなものを作って欲しい。というリクエストでしたら金額もデザインも違っていたかもしれません。ちなみに請求は、教授が在籍するオランダの大学にしました。半年経っても振り込まれず、そのことを打診し、銀行へ海外からの振り込みの申請をし、ようやく振り込まれました。

事例4)
ホームページの制作依頼を受け
BiNDupのコントロールパネル内のことを
様々お教えしたら音信不通に

●制作物

ホームページ

●仕様

BiNDupで制作

●制作物の目的

BiNDupでホームページを作って欲しい

●担当者のポジション

歯科医院を10院ほどを経営する理事長

●制作の経緯とトラブル内容

BiNDupでのホームページ作成をお願いしたい。とオンラインで打ち合わせ。金額をお伝えし、金額のOKをもらう。その時、教えて欲しいとBiNDupのコントロールパネル内のことをお教えする。その後は、メールをしても電話をしても音信不通に。

●今思うこと

もともとこの理事長は、ホームページ制作を依頼する気はなく、わからないところを知りたいがために、発注すると嘘をついて聞き出したようです。(弊社では有料にて、BiNDupの操作の電話サポートをしています。)発注していただけるか、わかりませんので、電話サポートをしている旨を伝え、答えなければ良かったです。

事例5)
不動産会社のロゴデザインの依頼
提出し要望通りに修正するも
同じ会社名が、すでに法人登記されていて、その後音信不通に

●制作物

ロゴ

●仕様

10案ほどご提案

●制作物の目的

会社のロゴ

●担当者のポジション

これから会社を設立する人

●制作の経緯とトラブル内容

今まで個人事業で不動産業を運営。これから会社を立ち上げると、会社のロゴデザインの依頼。デザイン案提出後、要望通りに修正。その後、同じ会社名が法人登記されていて、登記できない。新しい会社名で登記できたら連絡する。と言われ、その後はメールは返事なし。電話も出てくれない。音信不通に

●今思うこと

個人の方で、電話とメールのやりとりのみで会ってはいません。デザインする前に契約書を交わせば良かったです。さらに正確な社名と登記する場所を聞いて登記検索で調べれば、登記できないことが事前に分かりデザインに取り掛からなくて済んだかもしれません。

事例6)
飲食店からシンプルなホームページ希望
完成間際でイラストを多用した楽しいものにしたい
その後、担当者と連絡が取れず

●制作物

ホームページ

●仕様

全1ページ

●制作物の目的

新規事業用の補助金を受けつつホームページのリニューアルし、
デリバリー事業を始めることをアピールしたい

●担当者のポジション

店長

●制作の経緯とトラブル内容

BiNDupを使い、社長が作ったホームページがあるが、デザインが古い。そこで、新規事業用の補助金を受けつつホームページのリニューアルをしたい。新規事業としては、テクアウトやデリバリー事業を始めることをアピールしたい。Appleのような背景が白を基調としたシンプルなホームページを作りたい。何度かやりとりをし、トップページができあがる。ところが、よなよなビールのようなイラストを多用した楽しそうなホームページにしたい、という連絡。そのホームページを確認すると、イラストのクオリティが高く、イラスト代がかかるの旨を伝え、どんなイラストが良いかとお教えください。と、連絡待ちに。そこから音信不通に。電話をしても出ない。メールを送っても返信されない。結局、請求できずに。数年経った今ホームページを見てみると、イラストは使われてなく、改訂前と同じ、背景の黒のリニューアルされたホームページが完成していた。

●今思うこと

何度かやりとりをし、ほぼできあがっていたので、イラストをたくさん使ったホームページにしたい。という変更希望にあぜんとしました。おそらくAppleのような背景が白を基調としたシンプルなホームページができあがり、そこではじめて、楽しさのようなものが欠けていると気づいたのかもしれません。そこで、イラストを使いたい。ということになったのではないでしょうか。ほぼ完成していたので、正直、作り直す気持ちには、なれませんでした。それでもイラストを使う方向で、どんなイラストが良いか確認していたにもかかわらず、しばらくして電話には出てもらえず、メールを送っても返事がこなかったため、どうにもならず、仕方がなかったかと思います。どんなイラストが良いか、イラストタッチをご提案すれば良かったのかもしれません。ご担当者とすると、イラストの提案もないし、無理だと感じ、こちらからの連絡を遮断したのかもしれません。お客様は初めてのデザイン発注です。さらに、デザインをいろいろ見ているかも怪しいです。デザインのできあがりのイメージができない。出来上がりを見て判断するのです。このことも考慮すれば良かったです。

事例7)
ホームページを制作したお客さんからの紹介で
クリニックのホームページ制作
新担当者の意味のわからない要望で紛糾

●制作物

ホームページ

●仕様

10ページ

●制作物の目的

ホームページの刷新

●担当者のポジション

初めは紹介者の知り合いの取締役
担当者が変わり姉の取締役

●制作の経緯とトラブル内容

ホームページを制作したお客様から知り合いのクリニックを紹介され、クリニックの担当者(取締役)の意見に沿ってトップページを制作。デザインを気に入っていただける。セカンドページを作ろうとしたところ、打ち合わせをしたい。ということになり担当者、担当者の母(取締役)、担当者の姉(取締役)の3人と打ち合わせ。その場で、どんなテイストのホームページにするか、3人の意見が対立。その場で、ホームページの制作担当者が、姉に変わり、要望が姉から来ることに。ところが、姉からのデザインの指示がよくわからず、デザインサンプルを送っていただくことに。その方は、昼間は会社に勤めているので、詳細の確認電話はできず、とりあえず、サンプル通りに作ると変なデザインになってしまいました。2回ほど修正を繰り返したところで、母親から電話があり、ここまでの分をお支払いするので、中止したい。とのこと。この時は、制作内容をあまり考えずに見積金額の1/10しか請求しませんでした。

●今思うこと

まず、3人の意見が対立した時点で、意見は1つにまとめてください。デザインを変えるのであれば、今までの分をお支払いください。といえば良かったです。今は、見積もり時に、修正は2回、3回目以降の修正は別途としていますが、当時は修正回数について見積書に記載していませんでした。お客様の多くが、大手企業様で大幅な変更はなく、常識の範囲内でやりとりができていました。大幅な変更があった場合、都度申し出て再見積書を提出していました。デザイン発注の経験のないお客様の場合、修正回数を提示しないと危険です。何回でも修正できると思われるようです。デザインの素人さんの場合、できあがりのイメージがなく指示を出してきます。サンプルをいただき、そのとおりに作りましたが、変なものになりました。電話連絡が、すぐに取れるお客さんですと、変なデザインになりますよ。と事前に伝えていますが、その事前連絡が、取れなかったこともトラブルの原因と思います。お母さんからしたら、なんでこんな変なデザインなの?と思ったと思います。一方的にデザイナーが悪いことになりました。中途半端にデザインを知っているかのような人は危険です。できあがりをイメージできず、指示を出してきます。変なデザインになるとデザイナーの責任になるのです。こういう方々とは、関わらない方が良いです。

デザインのこと、ご相談ください。